このホームページは日本の研究者に細胞認証の重要性を理解して頂くために開設をしました。今後論文審査や研究費申請において細胞の品質管理が重要になります。このホームページが日本の研究者の研究の一助となることを期待しています。

Reference: 実験医学 2014年6月号 Update Review  

<詳細>

1952年にヒト由来の培養細胞株HeLaが樹立されて以降、ヒト由来細胞株は次々と樹立されるに至った。しかしながらその中には他の細胞との取り違え(置き換わり)や混入により当初の由来や記述とは異なる細胞(誤認細胞)が研究に使用され、広く汎用されるようになったのも事実である。当時は誤認細胞を明確に見分ける術がなかったが、1990年代にDNA鑑定の技術が進歩し、Short Tandem Repeat(STR)多型解析によって遺伝子レベルで細胞(由来個人)を見分けることが可能となった。

これを用いて細胞バンクでは品質管理の一環としてヒト由来培養細胞における誤認(クロスコンタミネーションや取り違え等)の調査が始められた。2008年にはその時点における登録細胞の解析を終了し、JCRB細胞バンク:638種解析中38種(6.0%)、理研細胞バンク:565種解析中53種(9.4%)の誤認細胞を報告した。その後も一定の割合で寄託細胞の中に誤認細胞が認められ、誤認細胞は増加しつつある。

これらの現状を踏まえ、世界の細胞バンクならびに特に強い危機感を持っている欧米の研究者を中心に啓発キャンペーンが始められている。日本の研究者においても自身が使用している細胞に目を向けその管理の徹底を望むものである。

※ヒト由来以外の細胞の認証は動物種推定、系統識別程度の解析方法が推奨される。